タメ息を袋に集める

明日

近所のスーパーの本日限りの奉仕品は、
「明日」お一人様ひとつまで、というもの。
ちょいと自転車引っかけてスーパーに出かける。
明日は消耗品だから、
あって困るものじゃない。

開店前のスーパーには、
明日を求める人々の行列が出来ている。
先頭の青年は寝袋抱えての徹夜組。
それじゃ明日じゃなくて明後日じゃないか、
なんて考えてる間に店開き。

家族の明日にいつも気を配る主婦達を中心に、
山積みされた明日に向かってダッシュする。
整然と並ぶ大量生産の明日は、
どれもそっくり同じの粒ぞろい。

我先に我先にと明日に向かって手を伸ばす。
明日は面白いように売れていく。
誰一人、品質を吟味するヒマもない。

残り少なくなった明日を数人の客が引っ張り合う。
明日は変形して、伸びきって、
途中で裂け目が入って、ボロボロになる。

それでも最後の明日を手にした客は満足そう。
人を蹴倒して手に入れた明日で満足なんだろうか?

空っぽの商品棚を眺める遅れてきた客は、
絶望と不安に満ちた表情で呆然としている。
今日も明日もないって感じだ。
そして明日を抱えてレジに並ぶ客を恨めしそうに見つめている。

他の店でちょっと高い明日を買えばいいじゃないか、
明日はきっと人の数以上存在してるんだから。

と、ここまで観察したところで、
俺は抱えていた明日を商品棚に戻す。

手ぶらで帰る帰り道、俺は、
家で明日を栽培してみようかと思った。
うまく出来たら、ご近所にも分けてあげよう。
そう考えながら自転車をこぐ。
早速明日から、始めてみよう。
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by maekawaz | 2004-02-11 22:44 | 詩集
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