タメ息を袋に集める

禁じられたアクビ

昔は良かった。
体育教師は竹刀を振り回していた。
数学教師は三角定規を磨いていた。
俺たちは飛び交うチョークを避けながら
自由を勝ち取るために日々戦い、
戦いの合間にアクビをした。

アクビは勝利の凱歌にも似ていた。
アクビは退屈への抵抗の歌だった。
アクビは昨夜、夜を征服した証だった。
俺たちはアクビを愛し、ため息を忌み嫌った。
アクビを美しいと感じ、シャックリを不気味だと感じた。

そんなアクビが禁止されて、もう随分経つ。
俺たちは秘密組織を作り、
非合法にアクビを楽しんでいる。
街にはかみ殺されたアクビの死骸が転がり、
人々は無視して通り過ぎる。

国王が昨日、アクビの絶滅を宣言した。
新しく産まれた子供はアクビを知らない。
老人達は固く口を閉ざす。

けれど俺たちは知っている。
アクビは退屈で、
アクビは理不尽で、
アクビが俺たちを育てた事を。
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by maekawaz | 2004-02-13 19:08 | 詩集
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