タメ息を袋に集める

占い師の息子

オヤジは占い師で、
僕は占い師の息子だった。

子供の頃から僕はよく人生に迷い、
オヤジはその度に
根拠のよく分からないアドバイスをくれた。
アドバイスの最後はいつも
同じ言葉で締めくくられていた。

「占いに甘えるな、
当たるように努力しなきゃ、
当たるものも当たらんぞ、」

汚れなき少年だった頃の僕は、
尊敬する父の言葉に疑問も持たず、
占いの的中を目指して日々努力していた。

オヤジの占いの結果は必ず明るい未来で、
僕はそのたびに喜び、安心した。
けれど、オヤジの占いはよく外れた。
僕は努力が苦手だったから。

そんなオヤジが
町でインチキ占い師と呼ばれるようになった頃、
僕はオヤジに聞いた事がある。
「父さんはインチキ占い師なの?」
オヤジは憤然と言い放つ、

「俺はインチキなんかじゃない!
インチキだってバレることすら、
ちゃんと去年の段階で分かっていた!」

インチキ占い師のオヤジは、
それからも僕にアドバイスをくれる。
祈りを込めたアドバイス。
僕に幸あれと願う言葉。

きっとオヤジはこんな風に、
出会ったどんなお客さんにも、
祈りの言葉を繰り返したのだろう。

その声の届く限りの人々に、
迷い多い人生をほんの少し応援しながら、
インチキ占いを繰り返す。

僕は今、尊敬するオヤジを見習い、
出会った人々に向かって、
祈りの言葉を繰り返したい。
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by maekawaz | 2004-03-05 21:10 | 詩集
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