タメ息を袋に集める

不老不死倶楽部会長の葬儀にて

誰もが絶望を振り払うかのように集まっていた。
自分の目で真実を確かめようとして、
その手段に困窮していた。
遺影に飾られた会長自慢の究極の脳天気顔とは対照的に、
棺の中の会長はひどくバツの悪そうな表情で固まる。

誰もが都合のいい解釈を探し求めていた。
しかし目の前にある会長の死は、
不老不死倶楽部の破綻を意味していた。
誰かが会長の復活を歌い、大合唱になったが、
誰かが歌を止め、大合唱も止まる。

誰もがこれからの人生に迷っていた。
不老不死を信じていたからこそ、
何万年もかかる壮大な夢を持っていたのに。
喪主をつとめる会長の妻が、
会長の遺言という最悪の矛盾を読み上げる。

誰もが会長の最後の言葉に聞き入っていた。
会長は生前と変わらず独自の哲学を語り、
再び涙にくれる会員達の瞳に輝きを与えた。
会員達は涙を拭って立ち上がり、
会長は死んではいない! と叫び出す。

誰もが再び、壮大な夢を持ち始めた。
不老不死倶楽部の会員達は、
やがて来る自分たちの死を悟りながら、
何万年も先を見つめるようになる。

そして不老不死倶楽部は、
今も会員を募っている。
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by maekawaz | 2004-03-06 18:23 | 詩集
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