タメ息を袋に集める

懐かしい記憶

長い道のりを逆戻りして、
忘れ去ってしまいそうな
懐かしい記憶を探しに行く。
膝を折って目線を下げて、
時間で流れる朧気な雲を見上げ、
方向を確かめながら、
まとい続けた偽りの衣を、
一枚一枚、無垢でありたいと
願いながら脱ぎ捨てていく。
悲しみの雨をくぐり、
不安で押しつぶされそうな砂漠をも
逆戻りして、
輝きの薫る花壇まで戻ったら、
小さな出来事を思い出す。

初めて孤独だった日、
初めてすっぽかされた日、
初めて嘘をついた日、
初めて裏切られた日、
初めて思いやりを忘れた日、

あの日の出来事が、
錆び付き、風化しようとする
記憶の鍵となって、
僕はあの、
懐かしい記憶を取り戻すだろう。

手にした瞬間、
時はまた、正確に流れ始めて、
再び、その場を僕は旅立っていく。
カタチを失い砂になっていく記憶が、
握りしめた指の隙間から零れる。

手のひらに残った砂の意味は、
今はもう分からないけれど、
僕はその記憶の欠片を、
この上なく愛している。
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by maekawaz | 2004-03-21 09:49 | 詩集
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