タメ息を袋に集める

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イメージだけの男

イメージだけの男が、唐突に扉をノックする。
鍵を開けると、その男のイメージだけが、
俺の部屋に飛び込んでくる。

正体不明の男、
俺の思いも寄らなかったイメージで、
俺の目の前に立つ。

人の部屋の中を、
土足でズカズカと歩き回るイメージ。
隠しているものを、
ガサゴソと勝手に探し回るイメージ。
二日酔いの俺の頭を、
ガンガンと殴るイメージ。
そして、放っておくと、
消えてなくなりそうなイメージ。

俺は男を捕まえようとする。
部屋中を走り回って、
バタバタと男に飛びつきながら。
けれど男はするすると、
俺の両手をすり抜ける。

俺は扉に鍵をかけ、
イメージだけの男を囲い込んだ。
そして二人で我慢比べ、
とことん一緒に時を過ごす。

俺はイメージだけの男を捉えたくて、
男に俺の体を貸した。
これで、男の居場所はよく見える。

けれど俺の体は不器用で、
イメージ通りに動かない。

俺は男と語りたくなって、
男に俺の声を貸した。
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by maekawaz | 2004-02-29 19:48 | 詩集

呪いのうた

アナタの今日の運勢。
何一つ思うようにならない。
不安が現実のものに。
隠し事がバレる。
他人に誤解される。
油断すると大怪我する。
誰もアナタを救わない。
ラッキーアイテムはなし。
ラッキーカラーもなし。
失せものは永久に出てこない。

なんだ。
いつもと同じじゃん。
僕たちはそんな日常から、
シタタカに幸せを探している。
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by maekawaz | 2004-02-28 15:29 | 詩集

自転車を盗まれた。

どうやら自転車を盗まれた。
鍵を付けっぱなしで放置していた事を、いろいろな人に怒られた。
呪いの詩でも書いてやろうか・・・うそうそ。
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by maekawaz | 2004-02-27 23:03 | 近況報告

巨大迷路前にて

突如郊外に出現した巨大迷路の入り口で、
これから迷路に挑もうとする
勇気ある老若男女に聞いてみた。
どうしてアナタは迷路に挑むのかと。

起業家と占い師は
迷わない自信があるからと豪語し、

ひとり迷路に挑む事で乳離れを目指していると、
マザコン乳幼児は答えた。

そこに迷路があるからと言ったのは、
学者と酔っぱらいとワンダーフォーゲル部員で、

迷うこともまたよろしいと、
双子の老人は微笑む。

超能力者と推理作家は、
抜け道を見つける美学を解き、

ミュージシャンはギターを、
用心棒は日本刀を抱えて、
自信を漲らせた。

ゼンリンの社員と伊能忠敬は地図を広げ、
軍人とハイテク女子高生は端末を持って人工衛星を探す。

水道局員はダウジングを、
ヘンゼルとグレーテルは固いパンを、
ヨットクルーは太陽を、
宗教家はそれぞれの神を、
野良犬は嗅覚を、
男の中の男は気合いを、
愛妻家は家族を、
詩人は前向きな絶望を、
関西人はヘリクツを、
旅人は経験を、
それぞれ秘策として披露してくれた。

意気揚々と、或いは不満げに、
時に上司との付き合いで、
彼らは迷路に挑み、足を踏み入れていく。

俺もまた、
巨大迷路に挑むつもりだ。
今度は出口に立ってアンケートをとる為に。
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by maekawaz | 2004-02-27 15:50 | 詩集

記憶喪失の旅人へ

アナタが限界と名付けたものは、
薄っぺらいタマゴのカラです。
アナタが世界最高峰と名付けたものは、
窓から見える近所の山です。
アナタが信者と名付けたものは、
迷い込んだ黒いノラ猫です。
アナタが孤独な悩みと名付けたものは、
誰にでもあるイライラです。
アナタが嫉妬と名付けたものは、
ココロからの忠告です。
アナタがマボロシと名付けたものは、
これから目指す街の名です。
アナタが、
嫌いな自分と名付けたものは、
既にここには居ないアナタです。

記憶喪失の旅人様、
自分が旅人であることも忘れた旅人様、
旅人の仕事は、
初めて見るものに名前をつけることだから、
もう一度最初から、全てに名前を付けましょう。
もう一度、旅を始める準備をしませんか?

アナタが旅と名付けたものは、
無力な僕の祈りでもあるから。
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by maekawaz | 2004-02-26 15:59 | 詩集

悪人を改造する

男は捕獲した悪人に改心を勧めたが、
悪人は頑として取り合わなかった。
男は仕方なく改造手術を行い、
気の弱い善人に仕立て上げ、
過去の記憶も壺に入れて土に埋めた。
二足歩行と職安の位置を教えて
交差点に放すと、
もと悪人はそこから生活を始める。

疑問のない暮らしを数年おくると、
もと悪人は時々立ち止まるようになる。
そして不満の芽を育て始める。
何者かに押しつけられた人生を感じ、
モヤモヤを歌にして歌い始める。

やがて男は交差点でモヤモヤの歌に囲まれ、
捕獲され、改心を勧められる。
男は頑として取り合わない。
そして今、
仕方なく改造手術が始まろうとしている。
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by maekawaz | 2004-02-25 15:16 | 詩集

絶滅寸前のコビトたち

多分、風邪をひくたびに
咳や鼻水と一緒に出ていってしまったんだと思う。
僕の頭の中で暮らしていたコビトたちは
どんどん減って最後の一人になってしまった。

彼らは僕よりもずっとよく笑い、よく泣いた。
困っている犬を家に招いては親に叱られた。
観察力と集中力に優れ、視力は2.0以上だった。
匂いに敏感で、大人の匂いが一人一人違うことをしっていた。
いつかは空を飛び、宇宙へ行く計画を本気で立てていた。
大統領になるための本があると信じていた。
母を愛し、父を畏れていた。
宝の地図を作り、宝を地底人に奪われたりしていた。
そして時々、僕の頭の中で暴れた。

僕は最後の一人になったコビトに、
毎日手紙を書いている。
どうか、君だけは、出ていかないで欲しいと、
でないと、僕の頭の中は空っぽになってしまうから。

時々、コビトから手紙の返事が返ってくる。
それは僕に宛てられたメッセージであると同時に、
世界中に散らばる、絶滅寸前のコビトたちに
宛てられたメッセージでもある。

僕は最後の一人となった僕の頭の中の住人との文通を繰り返しながら、
誰かの頭の中のコビト達を探し続けている。
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by maekawaz | 2004-02-24 17:47 | 詩集

百年後に愛を語るために

愛を語るには百年早いけれど、
百年後に愛を語るために、
愛について考える。

愛が欲しいと言ったら、
僕は僕の身体を食料として与えられるだろうか?

愛が寒いと言ったら、
僕は最後の一滴まで血を流すだろうか?

愛が見ないでと言ったら、
僕は永遠の真実を見過ごせるのだろうか?

愛が殺せと言ったら、
僕は最愛の人を殺せるのだろうか?

愛が捨てろと言ったら、
僕は詩を捨てることができるのだろうか?

僕は、
そうやって愛されて育ったのかもしれないのに・・・
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by maekawaz | 2004-02-24 04:41 | 詩集

猛獣注意はやめてください

今日、早速買ってきて、
玄関先に貼ったステッカー、
「猛獣注意」はやめてください。

アナタは「可愛い」と言って、
私を買ってきたはずなのに、
「猛獣注意」はやめてください。

まるでゾウかライオンでも、
出てくるのかと誤解されますから、
「猛獣注意」はやめてください。

私はこんなに小さいし、
子供だって恐がりはしないから、
「猛獣注意」はやめてください。

私の怒りも喜びも、
千里を走れはしないから、
「猛獣注意」はやめてください。

強い女でいたいけど、
強さの意味が違うから、
「猛獣注意」はやめてください。

私はアナタの味方だし、
アナタのチカラになるつもり、
でも、
「猛獣注意」はやめてください。

私はマボロシで、
アナタを真に守れはしないから、
「猛獣注意」はやめてください。

アナタを守るのはアナタの強さ。
ほんの少し、背中を押す、
そんな私でいたいから。
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by maekawaz | 2004-02-23 15:18 | 詩集

大量生産

カケガエのないものを大量生産しよう。
何度も自分を救ってくれた命の恩人。
尊敬してやまないカリスマ。
最初で最後の大恋愛の相手、
血を分けた兄弟。
二度と帰らない時間。

世にも珍しいものを大量生産しよう。
新種の美しい生き物。
偶然の出会いが作り出した芸術。
あの日の、あの場所での天候。
ボーダーラインの上にある気持ち。
古代文明の遺産。

今にも消え去りそうなものを大量生産しよう。
幻のような流星の軌跡。
命短き乙女の恋。
虹の彼方、現実との境界線。
ヨボヨボの老人。
儚き、うたかたの夢。

世界でたった一つのものを大量生産しよう。
世界でたった一人の君を大量生産しよう。
それでも僕は寂しくて、
それでも僕は見失い、
それでも僕は満たされないから。
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by maekawaz | 2004-02-22 16:35 | 詩集


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