タメ息を袋に集める

猫が駆け抜ける

車と車の流れの間を、
脚を十本ぐらいにして猫が駆け抜ける。
道の向こうには
待っている家族が居るかもしれない。
小さなお気に入りの場所が或るのかもしれない。
カナラズも、エイエンも、分からないまま、
君は駆け抜けた。
アスファルトとタイヤに囲まれた場所で
君は生まれて、小さな世界を知って、
小さな時間を生きる。

刹那と刹那の流れの間を、
小さな永遠を抱えて猫が駆け抜ける。
僕は君達が刹那を避けきれずに
アスファルトに永遠を零してしまうのを何度も見た。
この世界が君達に強いている事を、
僕は取り除く事もできず、
明日も明後日も、
君達が無事に道の向こう側に辿り着く事を、
祈るばかりだ。

車と車の流れの間を、
地上20センチの視線で捉えて猫が駆け抜ける。
鉄とコンクリートの中では、
小さな命はもっと小さく見えて、
けれどその分、温度や光は凝縮されて、
そんなふうに生きるべきなのは、
みんな同じだけれど、
僕は祈るばかりだ。

今日も永遠が続きますように。
by maekawaz | 2012-02-19 11:13 | 詩集
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