初めての魔法で、
僕は世界を手に入れた。 2回目の魔法で遠くまで空を飛び、 3回目の魔法で大勢を少しだけ笑顔にした。 その次にはコンテストで一番になり、 その次には美味しいものを食べた。 それから雨を降らせて雨を上がらせ、 虹を見て星空を見た。 電車を遅らせてバスを早めた。 失くしたものを見つけた。 足りない10円を出した。 背中の痒みを止めた。 コーヒーを少し苦くした。 カレーを少し辛くした。 身長を3ミリ伸ばした。 寝癖を直した。 見つからずにアクビをした。 3分多く寝た。 それから魔法でテレビのチャンネルを変えて、 それから魔法でうたをつくった。 それから魔法で君を探して、 それでも見つからずに時は過ぎて、 僕はすっかり魔法を失って、 魔法を使わずにうたをつくった。 そして、 魔法を使わずに君と出会った。 #
by maekawaz
| 2008-08-07 20:54
| 詩集
アナタが好きだった音楽を、
また街角で聞きながら、 アナタが永遠に生きている気がして、 それでもとても哀しくなる。 人はうたを残して去るんじゃない。 うたを分け合っているんだ。 同じうたを同じだけ。 #
by maekawaz
| 2008-07-28 00:02
| 詩集
アナタが心臓の裏側に隠している
小さな粒は、 街行く誰もが気付く事が無い。 太陽の光が世界を真っ白にした日にも、 アナタの秘密は 凛とした静寂の涼やかさを 保ち続けていた。 全身で受け止めた太陽の熱が、 やがて心臓を焼き尽くしても、 アナタの秘密は、 ガラスの輝きを持つ透明の温度で、 凍り続けている。 あまりに小さいその粒は アナタ自身ですら見る事はないけれど、 時々目を閉じて、 アナタは感じている。 それは全く別の季節のような、 青い空のような粒だ。 いま、 氷の彫刻だったアナタが、 数時間で溶けてなくなろうとしても、 最後に残るアナタの秘密は、 どこまでも涼やかに アナタを再生する。 #
by maekawaz
| 2008-07-25 01:03
| 詩集
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